個人が事業を開始する場合は《個人事業主と法人の違いとは?》にもあるとおり、
税務署に対して『個人事業の開業・廃業等届出書』を提出するのみ
で基本的には開業手続きは完了します。
この『個人事業の開業・廃業等届出書』(以下「開業届」といいます。)は、提出しなくても罰則等があるわけではありませんが、開業届を提出することで受けられるメリットがありますので、別段事情がない限り提出しておきたいものです。
ここでは、この開業届の提出とその他事業を開始する際に提出しておいた方が有利となる届出・申請書関係をご紹介します。
個人事業の開業・廃業届出書
いわゆる「開業届」と言われるもので、個人が事業を開始する際に税務署に提出するものです。
提出の対象となる人
新しく事業を開始した人、新しく不動産賃貸業を始めた人 etc…
提出する時期
事業を開始した日から1月以内(提出期限)
※ 提出期限の日が土日祝日の場合は、その土日祝日の翌日が提出期限になります。
手数料
手数料はかかりません。
開業届の取得方法
国税庁のホームページに開業届の様式が公開されています。
開業届の提出のメリット
開業届を提出しないまま事業を開始しても、罰金が科されるといった罰則規定はありませんが、開業届を提出することで、次のことが可能になります。
○『所得税の青色申告承認申請書』の提出ができる
以下にも記載しますが、青色申告をすることで多様な節税が可能になります。
○『屋号』をもつことができる
事業用の銀行口座を開設する際に、個人名義で新規口座を作ってもいいのですが、開業届で屋号を指定することで、口座開設の際に屋号で作成することが可能となります。ただし、金融機関によって条件が異なるようですが、開業届を提出していることは最低限必要となるようです。
所得税の青色申告承認申請書
「青色申告」という言葉を聞いたことがあるかとは思いますが、所得税の確定申告において「青色」と「白色」の2つのいずれかの申告書を作成し税務署に提出していくことになります。この『所得税の青色申告承認申請書』を提出し、一定の帳簿を備え付けることで多様な税制優遇を受けることができる「青色申告」をすることができます。反対に、この承認申請書を提出しない場合には、税制上の優遇措置がない白色申告をすることになります。
提出の対象となる人
事業や不動産賃貸業を行っている個人等で今後、青色申告を行うもの
提出する時期
- 1月16日以後に新たに事業や不動産貸付を開始した個人:その事業を開始した日から2月以内に提出
- これまで白色申告を行い今後青色申告に切り替えたい個人:青色申告をしたい年の3月15日までに提出
手数料
手数料はかかりません。
所得税の青色申告承認申請書の取得方法
国税庁のホームページに承認申請書の様式が公開されています。
※個人事業者が青色申告を行う際に提出する承認申請書は『所得税の青色申告承認申請書』といい、法人が提出する承認申請書は『青色申告承認申請書』といい、個人事業者の方には「所得税の」がついていますので、作成する際には注意してください。
青色申告のメリット
青色申告のメリットは上げきれないほど多く存在します。主に、以下3つが青色申告をするか白色申告をするかで、税金計算上大きく差が出てくるところとなります。
○税金計算上の所得を計算するうえで、収入から経費を差引いた後に、更に65万円又は10万円の控除を受けることができる
○赤字を3年間繰越すことができる
○家族への給与を経費にできる。
これら開業届と青色承認申請書は、事業を行う上で忘れずに提出しておきたいものです。それぞれ期限があり、特に青色承認申請書は提出期限が過ぎてしまうと、青色申告のメリットを翌年分の申告まで受けることができなくなってしまいます。
事業を開始したら、すぐにでも提出しておきましょう。

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